5.グループ内のイジメ


 女の子は何故かグループを作りたがる。
 
 それは、大の大人だってそうだ。

 何かと集まってペチャクチャお喋りが好きな人が多いように思う。

 小学生や中学生、高校生や大学生、時には社会人だって、
 お手洗いすら、友達と行きたい。

 その心理がどうなっているのか、
 女の自分でも良く分からないのだが、
 あたしもこの類いの女だっただろう。

 それは何故か自然の流れであって、
 誰に言われたからというわけではない。


 新しい学校のクラスは、
 相変わらず学級崩壊の荒れていて、
 現状は変わる気配はなかった。
 
 転校してどのくらい経った頃だっただろうか。
 
 あたしは、
 クラスの女子のグループが
 大きく二つに分かれているのに気づいた。

 
 いわゆる、
 『前に出るタイプ』と『前に出ないタイプ』。
 この二つのグループである。

 表現の仕方がこれで良いものか、よくわからないが、
 読んでくれる貴方様もきっと想像つくのではないだろうか。
 
 
 『前に出るタイプ』の女子は、
 先生に注意されるようなことをすることが好きなのだ。
 しかも先生に何を言われても物怖じしない。

 一方『前に出ないタイプ』はいつも静か。
 絵を描いたり、彼女達の周りはゆっくり時が流れる。

 男子は男子で、
 女子のその中で『俺たちは関係ない』と思っているかのように、
 その友情に青春を生きている。


 新しい小学校の登校初日、
 校長室にあたしを迎えに来た女子は、
 明らかに『前に出るタイプ』のグループだった。
 
 
 物怖じしない彼女達と一緒のグループで、
 あたしは耐えた。

 耐えなければならない理由は、
 先生に対して、学校に対しての
 非常識な言動の隣に居ないといけなかったということと、

 もう一つ。

 『前に出るタイプ』のグループの中で『イジメ』があったからだ。
 
 
 非常識なことをしたりすることは目を瞑りたかったが、
 でも、彼女達は彼女達なりに、
 グループ内では仲は良いと思っていた。

 実際に、
 うるさい毎日の中でも笑いがあるグループではあったから。

 その中であたしも一緒に笑顔でいたこともあることは嘘ではなく、
 その笑顔も決して嘘ではなかったように記憶している。


 でも、ある日、
 グループのある子が、
 同じグループ内で『イジメ』に遭うのである。

 それもある日突然。
 
 彼女が何故イジメられたのか、
 あたしは知らない。

 覚えていないだけなのか。
 
 とりあえず、イジメのターゲットは『無視』されて、
 イジメる人はイジメる子の目の前で『チクチク悪口』を言うのだ。

 イジメられる子は耐えるだけ。
 
 そんな彼女に対して、あたしは何かしてあげられたか、
 思い出そうとしても、あたしには何も記憶がない。
 
 思い起こしてただ今言えることは、
 『毎日がドキドキして、ココロが痛かった』ということ。

 あたしはココロで、『絶対悪口は言わない』と決めていた…
 とういか、
 頑なにイジメに参加はしなかった。
 
 ただ耐える。
 
 今となっては、それもイジメることになるのだろうが、
 そのときのあたしには何も出来ずにいた。
 
 彼女が泣いている場面が、
 一枚の写真のように切り取られて頭に張り付いている。
  

 そして、
 イジメのターゲットは隣の彼女へと順繰り回ってきてるのに気づいた。

 そのとき、あたしは密かに少しだけ覚悟をした気もする。
 
 
 実際にその順番が回ってきたときにそんな余裕があったかというと、
 それはもちろんなかったが。

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4.学級崩壊の環境


 『何で教科書出してんの〜?!』
 『そんなの出さなくていいんだよ〜!アハハ〜!』
 
 『えっ…』と思った瞬間、
 周りの雑音が聞こえてきた。
 
 見渡すと、
 そこは教室の中の休み時間状態。

 『チャイムが聴こえてないとかいな』
 と思ったのもつかの間、

 先生が教室に入ってきて『静かにしなさい。』と一言。

 少し威厳を感じさせる強めの言い方であるが、
 どうやらそれは教室の子ども達には通じないようだ。


 『ねぇねぇ!』
 ついさっき知り合った子が大きな声で話しかけてくる。
 
 先生の言葉は無いものとして、
 先生の存在もろとも無いものとして、
 彼女はあたしに話しかける。
  
 子ども達の授業中の休み時間は続いている。

 それにも関わらず、先生は教団に立ち、
 あたかも『静かになった』後かのように淡々と授業を始める。


 異様な光景である。
 

 『教師をなめた態度』

 その言葉に尽きる。


 福岡の小学校は、
 担任の先生が前科目を教えていたように記憶しているが、
 
 どうやらこちらの小学校は違うようだ。
 
 担任の国語の先生はヒョロッとしていて頼りなく、
 音楽の先生はおばあさんで、
 その二人は、
 生徒からなめられる対象に
 がっつりはまり込んでいるようだった。
 
 
 あたしは、吸収された集団に合わせる他、
 その場で浮かない手は思い浮かばず、

 教科書を取り出すが、それから先へ進めない。
 開けない教科書を古い机の隅に置いた。 

 騒がしい音が、友達の大きな声が、高笑いが、
 あたしの耳の中で篭った音となって、
 まるでエコーのように響いて聞こえて、

 不満を周りに悟られぬよう、
 あたしはただ笑っているしかなかった。


 ただ、この耐えなければならない日々は
 …そう、2ヶ月も続かなかったが。

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3.きっかけというものがあるはず。


 あたしの最大の『きっかけ』は、
 どう考えても『転校』であっただろう。

 
 当時、小学6年生。
 
 小学生最後の夏休みが終わって、たしか、
 あれは9月頃だったと思う。

 ある日突然、家族会議なるものが行なわれ、
 大好きな福岡を離れなければならないという、
 とても受け入れ難い事実を父親の口から告げられたのである。


 今思い返しても、
 あたしの中で最大の青春だった福岡での小学生時代。
 
 もう少しで卒業なのに。
 そんなこと、到底受け入れることなんてできない。

 
 家族会議で、
 隣にいた母親が正座をしている太ももに顔を埋めて、
 溢れる涙と声を押し付けたのを覚えている。

 それでも漏れる声を聞いて、
 きっと親もかわいそうに思ったに違いないと、
 今ではそう思えるものの、

 
 当時は、どれだけ親を恨んだか。

 
 その時点での恨みの気持ちは、
 引越しをした後、神奈川では倍増することになった。
 
 
 
 神奈川は、
 あたしが思ったより都会であった。

 比較的、緑の多いところに引越しはしたものの、
 住んでいる人たちは、都会人であった。

 それを知ったのは、転校先の小学校である。


 初めての転校。
 
 緊張していたからか、
 思ったより肝が据わっていたのか、
 気丈な自分であった記憶がある。


 その小学校は創立100年を越す古い学校で、
 校舎はもちろん築100年なわけはないが、新しくもない。
 

 初めての登校の日、
 校長室で母親と妹二人と三人で待っていると、
 バタバタと、向こうの方から近づいてくる足音。

 ガラッと校長室のドアが開いて、
 『イノウエサトコさんですよね?!行こうっ!』と声を掛けてきた。

 妹ではなく、絶対的にあたしの同級生であろう女子が、
 おそらく、5〜6人はいただろう。


 本当はドキドキしていたに違いない。
 
 でも、嬉しかった。
 不安な登校初日は、とても楽しい日になった。
 
 
 それは、『転校生』という、珍しい立場であったからであろう。

 幸か不幸か、『転校生』のあたしはちょっと目立っていた。


 そして、
 あたしがその学校で『楽しい』と感じたのは、
 1ヶ月もなかった気がする。 
 

 その初日に感じた楽しさはウソだったかのように、
 その学校の中身は、
 とてもとても説明できないくらい荒んでいたの。

 
 都会人の怖さ。
 
 福岡に済んでいた頃には知るよしもない、
 恐怖が待っていたんだ。

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2.それまでの生い立ち。


 出身は、鹿児島県。

 でも、幼稚園の途中で父親の仕事の関係で福岡へお引越し。 

 福岡の早良区という、
 今では地下鉄や大きな道路が通っているようだけど、

 当時は田んぼや遠くの山が見える、平地。

 あたしは出身の鹿児島ではなく、
 福岡で育ったと言っても過言ではない。


 夏休みは朝からラジオ体操。
 家から、そう…100mもあったかな?
 眠い目をこすりながら、
 まっすぐ行ったところにある、酒屋さんの隣を目指す。

 6年生になったら、
 下の子たちに出席のハンコを押す係りになる。
 そのハンコは、小さい駄菓子屋さんに売ってある、
 小洒落たハンコ。
 
 近所の大人も交じって、ラジオ体操。

 
 通学路でもある、そのまっすぐな道を曲がる角には、
 お地蔵様が二人。

 たしか、
 その二人は、
 紅白の金太郎の洋服みたいなものを身につけていた気がする。
 
 あたしは小さなお願い事をすることが何度かあったように記憶している。

 でも、しっかりとそのお地蔵様を見たことがあったか考えると、
 なかったような気もしていて、
 あたしは、
 『お願い事はしっかりしていたのに、薄情な小学生だったな』と、
 今思い返していたりしている。

 田んぼのカクカク曲がった道が、学校に着く手前にあるの。
 その田んぼには、
 おたまじゃくしはもちろん、アメンボやヤゴ、
 カブトガニなるものも生息していた。

 
 夏には、カゴいっぱいにセミを捕まえて、木にも登っていた。
 
 
 キレイではなかった川でもお構いなし。
 洋服のまま入っちゃう。
 橋の上から川を覗くと、フナがけっこう泳いでるのが見える。
 それを知ってるはずだけど、そんなのお構いなし。

 タニシが大量にドピンクのタマゴを川の塀に産み付けていたって、
 それを誤って踏んでしまったって、お構いなし。

 たぶん、女の子だという自覚もなかったのだろう。


 放課後は、
 当時流行ったインラインスケートや、バスケをしたり。
 暗くなってもウチに帰るのが嫌なほど、
 外で遊ぶのが好きだった。

 休みの日に、男女6人くらいで油山という山まで自転車を飛ばして、
 遭難してみたり、
 室見川や、ももちまで自転車で飛ばすこともあった。


 逆に、女の子っぽい遊び、
 例えば絵を描くとか、人形で遊ぶとかという遊びは、
 とても苦手で、
 絵が上手い友達を羨ましく思うこともあった。

 
 とにかく外が大好きな活発な女の子だった。


 秋には、その田んぼの脇にピンクや白いコスモスが咲くの。
 冬には、福岡でも雪が降る。
 
 

 あたしはとても素敵な町で育ったの。

 何より、暖かな人たちの中で育ったんだ。





 
 それが、一点。

 当時、
 人生について考えたこともない、幼かった田舎者のあたしに、
 とても大きな転機が訪れることになろうとは、
 これっぽっちも考えたことはなかった。

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1.イジメについて書こうと思った理由は。


 何も自分から過去を全部引っ張り出そうと思うことは、
 到底ない。

 でも、あたしの経験をここに記録していてもいいかなと、
 なんだか最近思うようなことがあったから。

 ちょっとだけ、
 ちょっとだけ、何回かに分けて、記録しようと思うんだ。


 やっぱり、
 人によって感じることや思うことは違うということを知ったの。

 だから、だからあたしは、

 『あたしが思うことはこんなことなんだよ?』という風に、
 
 ちょっとだけ、
 ちょっとだけ記録して、

 この日記をたまたま読んでくれた人が、
 『ふーん』とでも思ってくれたら…と思うの。

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★プロフィール★

さっち

Author:さっち
★24歳のA型★
★婦人科クリニックで助手(チャント正社員)★
★4人姉妹の長女★
★ネガティブなのに変なところポジティブ★
★頑固、おっちょこちょい★
★花とか緑とか空とか雲とかとか、
 あとは、赤ちゃん・子どもが大好き★
★穏やかな気持ちで
笑顔で居れたらいーなと★

★ブログの主な登場人物紹介★

★チュンチュン★
 …彼氏さん。
  同い年のCG使い。
★夢★
 …前の職場の事務さん。
  水曜日の遊び仲間。
★イッコ下のナース★
 …今の職場のナース。
  ブランド好きで大人っぽい。
★師長さん★
 …今の職場の師長。怖い。
 けどイイトコロもあったり。
★おとうさん★
 …大阪単身赴任中。酔うと陽気に。
  浮気していませんように。
★おかあさん★
 …ウチには女がいないと、
  パートに家事に奮闘してくれてる。
★長女★
 …あたし。
  長女っぽくないのがタマにキズ。
★次女★
 …定職つかずでもバイトで稼ぐ
  しっかり者。
★3女★
 …奥手の大学生。バイトも勉強も、
  片想い中だし、青春真っ只中?!
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 …小学5年生。そろそろ思春期。
  ワガママ頑固な可愛い妹。
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 …ペットのウサギちゃま。溺愛

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